漢方薬について〜今日は「気」「血」「水」の「血(ケツ)」!〜

みなさま

こんにちは。

最近、外来に漢方を求めて受診される方が増えました。

漢方薬について、興味を持ってくださる方が多くて嬉しいです。

西洋医学を習った医療者よりも

すっと漢方の概念が入ってくるのかもしれません。

私の外来では、ひとつひとつの漢方について

「これは、こういう働きですよ!」とお話しすることで

私が処方した範囲内で

上手にご自分の体調に合わせて

漢方を自分でチョイスしながら加減することができるような玄人が増えてきております!

 

 

さて今日は

漢方医学的な病態(証 「しょう」と言います。)を把握するためのひとつの捉え方である

「気(キ)」「血(ケツ)」「水(スイ)」の変調の中でも

「血(ケツ)」にスポットを当てたいと思います。

「気」「血」「水」のイメージ

 

血(ケツ)とは何でしょうか

 

今までお話ししてきた「気」は実態がない

「エネルギー」「元気」みたいなものでした。

そのような「気」の働きを担って生体内を巡る液体として「血」と「水」があると考えられています。

「血(ケツ)」は、いわゆる「血液」と考えても良いのですが

血液そのものより、血液の働きも含めたもっと広い意味も指すようです。

 

 

 

「血(ケツ)」の異常は瘀血(オケツ)」と「血虚(ケッキョ)」があります。

気の異常は、「気虚」「気鬱」「気逆」でした。

・漢方薬について 〜「気」とは何ですか?〜 気虚??→こちら

・漢方薬について〜「気」とは何ですか?〜 気鬱??→こちら

・漢方薬について〜「気」とは何ですか?〜 今日は、気逆!?→こちら

一方、「血(ケツ)」の異常は、見出しの通り「瘀血(オケツ)」「血虚(ケッキョ)」があります。

 

●瘀血(オケツ)

瘀血の「瘀」は滞るという意味です。

つまり瘀血というのは、平たく言えば

「血の巡りが悪い」というと少しわかる気がします。

血液の巡りが悪い状態といわゆる皮下出血(青あざ)のような流れてない血液、ずっと溜まっている血液も「瘀血(オケツ)」と呼びます。。

また女性の月経にまつわる様々な不調は

「血の道」と呼んだりする事からも想像できますように、

血の巡り、すなわち瘀血が関連することがほとんどです。

 

なので女性特有の諸症状は、血を巡らせるという意味の駆瘀血剤(くおけつざい)がよく使われます。

 

 

●血虚(ケッキョ)

こちらは読んで字の如く

血が足りない状態です。

 

「瘀血」って見てわかるの?

瘀血の状態というのは

血の流れが悪いわけですが、見てわかるでしょうか?

実は、見る(視診)だけでも結構わかります。

・唇や歯茎や舌が赤紫や黒っぽい

・毛細血管が浮き出ている

・目の下にクマがある

・皮下出血(青あざ)

 

 

目の下のクマ

こういったことを手掛かりに瘀血の状態か見極めていきます。

診察では、もちろん、それに加えてお腹の所見も参考にしていきます。

 

瘀血を改善する生薬とは?

瘀血を改善する生薬としては

綺麗な花に関するものが多いという特徴があります。

「牡丹皮(ボタンピ)(牡丹の根の皮)」「桃仁(トウニン)(桃の種)」「芍薬(シャクヤク)(ボタン科)」「当帰(トウキ)セリ科」「川芎(センキュウ)(セリの根茎)」

なんかがあります。

これら生薬を配合した漢方を選択していくわけです。

血の巡りを良くして、瘀血を改善する漢方薬を「駆瘀血剤(くおけつざい)」といったりします。

 

当クリニックでは

エキス剤という形での処方が一般的です。

要するにインスタント漢方薬です。

 

だいたいのエキス剤は

空腹時に温めたお湯で飲む。

湯飲みにエキス剤を入れて100ml程度のお湯を入れてよく溶かして飲むというのも効果があります。

(中には、冷たい水で飲むほうがいいものもありますから、処方した場合はその都度お話ししますね。)

漢方エキス剤

さて今日は「気」「血」「水」の「血(ケツ)」!に関するお話でした。

瘀血というのはこの「気」の異常や「水」の異常と関連して出現することが多いので

単独で存在するわけではありません。

治療するときも、そのつもりで

全体の状態から漢方薬を選んでまいります。

 

瘀血(オケツ)というのは耳慣れない言葉ですね。

私も初めて聞いた時は

「なにそれ!?」と思いました。(笑)

 

漢方を出す時は

この症状だからこれ!という出し方はあまりしません。

その方の体に起きている病態を改善する漢方薬を選んでいくと

悩んでいる症状が改善する。

というような選び方をします。

なので同じ症状でも、お知り合い同士でもらっている漢方が違うこともザラにあります。

 

そのためには

患者さんのことを詳しく知る目的で

色々なことをお聞かせいただけたらと思います。

その点はとても家庭医療と親和性がありますね。

 

 

さて、長くなってきましたので

今日はこの辺で。

みなさま、よい週末をお迎えくださいね。

あん奈